オフロードの専門家 「ガルル」元編集長の小川浩康さんに聞いた SCOYCO オフロードブーツ MBM009 のおすすめポイント


オフロードブーツとは?
ひと口にオフロードブーツと言っても、モトクロス、エンデューロ、トライアル、林道ツーリングと、レース種目や用途によって求められる特性も変わってくる。
モトクロスブーツ
整地されたダートをハイスピードで走行するスプリントレースのモトクロス用ブーツには、大ジャンプの着地に耐える衝撃吸収性も求められ、歩きやすさよりも高いプロテクション性が優先される。
ブーツ自体の強度・剛性も高く、プロテクションパーツも多いので重量も重めだが、足を守られている安心感も非常に高い。
エンデューロ用ブーツ
エンデューロは、オフロードコースやスキー場などアップダウンのある地形を走破する耐久レースで、時にはバイクから降りて、バイクを押し上げることもある。
エンデューロ用ブーツには、転倒や、木や岩とのヒットから足を守るプロテクション性は欠かせないが、バイクを押し上げる際のソールのグリップ力も求められる。
トライアル用ブーツ
自然の地形や、大型トラック用タイヤなどの人工物を使ったセクションと呼ぶ競技区間を足を着かずに走破するトライアル。
セクションを走破するには下見が欠かせないため、トライアル用ブーツにはプロテクション性よりも、歩きやすさや繊細なマシンコントロールに貢献する操作性も求められる。プロテクションパーツは少なく、重量も軽め。
林道ツーリング用ブーツ
林道ツーリング用ブーツには長時間のライディングでも快適な履き心地も重要で、操作性とプロテクション性がバランスし、バイクを降りた際の歩きやすさも求められる。透湿素材や防水性を持つタイプの人気が高まっている。
SCOYCO モトクロスブーツMBM009の特徴

今回紹介するSCOYCO(スコイコ)モトクロスブーツMBM009は、大ジャンプを飛ぶような本格的なモトクロスレースに求められるプロテクション性はないものの、つま先からスネまで広範囲をカバーするTPU(熱可塑性ポリウレタン)パッドを装着し、オフロード走行に求められる衝撃吸収性を確保している。

ソールは路面への過度な引っかかりを防ぐモトクロス向きのフラット形状。エンデューロレースやトライアルにある、ドロドロで滑りやすい路面でのグリップ力が不足することもあるが、舗装路はもちろん林道程度のダート路面では確実なグリップ力を発揮する。

足首の前面とアキレス腱部分には伸縮性のある素材を使用し、足首の上下方向のスムーズな動きを妨げず、ブーツ本体と足首まわりの適度なフィット感を実現。足首の左右方向への余分な動きを防ぎ、オフロード走行に不可欠なプロテクション性と操作性を両立している。
広範囲をカバーするTPUパッド

ブーツの車体側には衝撃吸収性を持つTPUパッドを装備。足首の左右方向の余分な動きを制限し、サポート性も高める。
シフトパッドも装備

つま先全体をガードするプロテクションには滑り止め加工が施され、シフトパッドも兼ねている。
ホールド性の高いカカト

ブーツ内側のくるぶし部分にはパッドが内蔵されている。カカト部分はホールド性が高く、ズレにくい良好な履き心地を実現。
伸縮性素材で足首の上下動をスムーズに

足首の前面とアキレス腱部分には伸縮性のある素材を使用。

適度なフィット感と足首の上下方向のスムーズな動きに貢献する。
耐熱性の高いスーパーファイバーレザー

ふくらはぎ内側は耐熱性にすぐれたスーパーファイバーレザーを使用。耐摩耗性も高く、エンジンの排熱から足をガードする。
調整幅の広いストラップ

ナイロン製のストラップとバックルはクイックリリース式で操作しやすい。ストラップは調整幅が広く、ニー・シンガードの装着にも対応可能。
泥の侵入を低減

足入れ部にはシャーリングとベルクロストラップを装備し、足とのフィッティングを高めて、泥や小石のブーツ内への侵入を低減している。
水の侵入を抑制

ブーツは防水仕様ではないが、タン部分にカバーを装備し、ブーツ内への水の侵入を抑制している。
操作性とグリップ力を両立したソール

フラットな形状のソールはステップのホールド性が高く、オフロード走行で重要なステップ操作がしやすい。独自のソールパターンが確かなグリップ力を発揮し、歩行性も良好だ。
初めてオフロードコースを走行するビギナーも履きやすい

こうした作り込みながら片側(26.5cm)で約1.2kgと軽量に仕上がっている。筆者は普段26.5cmのオフロードブーツを使用しているのでMBM009の26.5cmを試着してみたが、くるぶし部とカカトのホールド性のよさで足がズレにくく、プロテクションパッドによるサポート性の高さもあり、安心感が得られた。
また、履いた瞬間から足首の上下方向への作動性がスムーズなのも好印象だった。個人的には、つま先部分が少しタイトに感じたので、ワンサイズ大きくしてもいいかもしれない。サイズを選ぶ際には、試し履きをしておきたい。
SCOYCOモトクロスブーツMBM009は、筆者のような一般的なライダーが楽しむモトクロスや、ゲレンデを使用したオフロードコースなどでのファンライドに最適なプロテクション性と操作性を備えたブーツになっていると思った。歩行時のグリップ力もあるので、林道ツーリングにも使える。そうしたコストパフォーマンスのよさにも注目だ。
writer:小川浩康
オフロードバイク雑誌「ガルル」の元編集長。景色を楽しみながらの林道ツーリングとオフロードコースをのんびり走るのが好き。